皆さんは海に行く時「楽しみ」の他に「危険」について考えた事はありますか?勿論、海=楽しい場所という考えの方もいれば、海=怖いという考えの方もいると思います。その怖いにはどんな意味があるのでしょうか…?今回は海に行く時にダイバーは勿論ですが一般の方が海水浴に行く際でも気を付けなければいけない「危険な海洋生物」についてご紹介していきます。
危険な生物の中にも色々な危険の種類があるのです。「刺す・噛む」事による怪我がほとんどです。主にどんな生物がいるのか、どんな危険を及ぼすのか知っていきましょう。生物も悪気があって攻撃をしてくる訳ではありません。自分を守る為の防御反応として身体に備わっているものなのです。「危険な生物」の事を事前に知る事が出来れば事故は防げる事が出来ます。知らない生物をむやみやたらに触ったり興味を示してしまうのがダイバーですよね…。せめて危険な生物は頭に入れておきましょう。
美しく危険な生物
要注意の美しい見た目!海の中にはうっかり手を伸ばしたくなるカラフルで綺麗な生物が沢山生息しています。しかし「見るだけで、触れるのは禁止」が基本ダイバーのルールです!毒を持った生物に刺されると場合によっては死に至る可能性もあるのです。海洋生物を守るだけではなくダイバーの命を守る為のルールなのです。
ミノカサゴ
見た目は華やかで写真で取りたくなるような「ミノカサゴ」ですが実は猛毒の持ち主なのです。背びれと腹びれに毒があります。刺されると激痛を伴い毒で刺されます。大きな胸びれを広げてゆっくり泳ぐ姿に魅了されるダイバーは多いですがそのヒレに毒があるのです。写真を撮るときは近づきすぎないように心がけましょう。ちなみに寿命は7~15年と長生きみたいです。体長は15~30cmほどの楕円形で体色は少し赤身のある白っぽいベースカラーとなります。体表には茶色や暗褐色などの縞模様があり、各ヒレには黒っぽい斑点が見られます。この縞模様は、毒を持っているぞという外敵への警告を示すとともに保護色の役割を果たしている見たいです。このヒレの役割には外敵が近づいたらヒレを立てて威嚇したり、餌となる小魚を捕食する際も、大きな胸ビレを広げて小魚を狭いところに追い込んだりします。毒のある場所ですが、普段は皮膚によって覆われた状態になっており外敵が接近すると皮膚が破れ毒が放出される仕組みです。刺された瞬間は電気が走ったかのような刺す痛み、その直後には趙烈な痛みが長時間続きます。赤く腫れあがり、めまい、吐き気、頭痛を引き起こす可能性もあります。安易に近づきすぎず距離を置いて観察しましょう!
処置方法
①ダイビング中であれば速やかに泳ぐのを辞めて陸に上がりましょう。
②患部を真水で綺麗に洗い、毒を絞り出しましょう。もし針が残っている場合は針も抜いて下さい。
③毒が抜けた後、45℃以下の出来るだけ熱いお湯に30分から1時間ほど浸けてください。
④あくまでもここまでは応急処置です。専門の病院を受診する事をお勧めします!
ヒョウモンダコ
水中でタコに出会えたら誰しも捕まえたくなるかもしれません。タコが攻撃をする際に炭を吐くことはご存知かと思いますが、タコの中にもとても危険なヒョウモンダコという種類のタコが存在します。サイズは10cmほどのスモールサイズですが浅い海や潮だまりに生息する意外と身近な生物なのです。ダイビングだけではなく磯遊びなどでも気を付けなければなりません。ヒョウモンダコの唾液にはフグと同じ毒(テトロドトキシン)が含まれます。ヒョウモンダコはおとなしい為、自ら攻撃はしてこない物の毒性が強いのでむやみやたらに触れるのはやめましょう!刺激を受けると青い斑点が現れるのもこのタコの特徴です。身の危険を感じると吐いたり噛みついたりといった方法で敵に攻撃をします。この毒は熱湯300℃以上の熱を加えても分解できないと言われる猛毒です。怖いのがすぐに症状に現れない事。20分~数時間で症状が現れます。症状は麻痺による呼吸困難や血圧の降下、嘔吐といったものです。この毒には解毒方法が未だ見つかっていない為事前と抜けていくのを待つしか方法はありません。ヒョウモンダコについては死骸であっても危険と言われます。
処置方法
①ダイビングをすぐに中止(可能であれば救急車を呼ぶ)しましょう。
②患部をつまんで毒を放出しましょう。
→テトロドトキシンを体外にできるだけ排出して、毒の影響を減少させる効果があります。
③手や指の場合は、刺された場所より上の部分で紐を強く縛りましょう。
擬態している危険生物
海には砂地と言われる擬態している猛者が存在します。ダイバーは常に中性浮力を保ち、着底せず岩に海底に手やひざをつけない事が理想と言われます。本来は自然保護が目的のマナーですが、ダイバーの身を守るためのルールでもあります。まだマスターしきれていない時期にはそんな事を言ってる暇もありません。砂地に潜む生物に目を向けて気を付けなければなりません。
オニダルマオコゼ
砂地の水底に潜む岩のような怖い顔の生物。こちらは「オニダルマオコゼ」と言われる生物です。背びれに隠れる棘の部分に強い毒を持つ危険生物です。パット見ると藻が生えた岩に見える為何も知らずに通りすぎる事もあると思います。普段は砂に潜っている事もあるので十分に気を付けましょう。毒の量も多く刺されると重症化してしまうみたいです。刺されると強い痛みを感じ周辺が腫れあがります。沖縄方面では死亡例も出ているほどだそうです。体長約40㎝ほどの大き目の生物で最強猛毒生物とも言われます。オニダルマオコゼの毒はその中でも最強。ストナストキシンと呼ばれる成分がオニダルマオコゼの毒の成分で、ハブ毒の30倍とも言われる非常に高い毒性を持っています。
処置方法
①ダイビング中であれば速やかに泳ぐのを辞めて陸に上がりましょう。
②海から上がったら真水で傷口をよく洗いましょう。
③その時まだ棘が残っていれば必ず取り除きましょう。
④刺された患部を約45℃以上のお湯で温めましょう。
⑤あくまでもここまでは応急処置です。専門の病院を受診する事をお勧めします!
ゴンズイ
ダイビング中に岩陰や砂地でよく見かける「ゴンズイ」。塊になって動く事からゴンズイ玉と呼ばれます。ゴンズイはナマズの仲間で茶褐色の体に頭部から尾部にかけて2本の黄色い線があります。背びれと胸びれには、毒棘(どくきょく)と呼ばれる鋭い毒のトゲがあり、刺されると焼けつくような激痛に襲われます。ゴンズイの毒は死んでも消えないと言われているので注意が必要です。症状は激痛、やけどのような痛み、傷口がひどく腫れるなどのしびれや痛みが長時間続きます。そのまま放置すると傷口の周辺が壊死を起すこともあります。
処置方法
①ダイビング中であれば速やかに泳ぐのを辞めて陸に上がりましょう。
②患部をお湯で温めましょう。
→熱によって拡散を防ぐことができるものであり、 激痛を少し緩和することができます!
③あくまでもここまでは応急処置です。必要があれば受診をしましょう。
ウニの棘に要注意
岩の隙間に潜むことの多いウニ系の仲間たち。今回は特に危険&よくいる生物を紹介していきます!
ガンガゼ
ガンガゼはウニの仲間で長い棘に毒があり、刺さると激しい痛みをおこします。20~30cmもある長い毒棘は簡単に突き刺さってしまい、ウエットスーツを着ていても貫通してしまいます。昼間は岩陰などの暗い所に隠れて生活をしています。夜になると棘が伸びてきて周囲に出てきます。浅い場所にもいることが多く沖縄などのスノーケリングができる場所にも多く生息するので注意が必要です。ガンガゼは【細くて折れやすく、刺されると皮膚に棘が残りやすい】のが特徴です。
処置方法
①ダイビング中であれば速やかに泳ぐのを辞めて陸に上がりましょう。
②水中ですぐに上がれない場合は患部をつまんで毒を抜きましょう。
③真水でしっかり患部を洗い流し、熱湯を当てるといいでしょう。
④あくまでもここまでは応急処置です。必要があれば受診をしましょう。
ラッパウニ
ラッパウニは基本的に暖かい海に生息する事が多いです。岩の上にへばりつくように生息していますが、身を隠すために貝殻などをくっつけている場合もあります。大きさは大体10cmほどですが叉棘が開いている状態だと大きく見える事があります。ラッパウニはこの叉棘と呼ばれる棘を沢山持っているのです。この棘に毒があり噛みつかれるとかゆみやしびれを感じます。症状は比較的ひどくないと言われていますが、量が多かったり毒に弱い体質の場合しびれが麻痺に代わり、動機息切れなど重症化することもあるので注意が必要です。
処置方法
①刺された部分に残っている叉棘をできるだけ取り除きましょう。
②40~45℃くらいのお湯に30分ほど患部を付け、毒を不活性化させましょう。
③体の麻痺や動機、息切れを感じる際は、病院を受診し手当てを受けることが大切です。
ちなみにウニ科の仲間たちは長くて200歳まで生き延びると言われています。
まとめ
今回ご紹介した生物以外にも皆さんが潜っている海には沢山の毒生物も生息しています。海中には興味の出る様々な生物が存在しますが、生物は危険を感じた時自分への防御反応として毒を放出します。最も有効な対処法は【触れない・近づかない】ことです。どれだけ危険な生物であっても、理由なしに人に襲いかかってくることはほとんどなく、極めて稀です。生物に触れない事は危険の回避の方法以外にも海の生態系を守るマナーでもあるのです。初めての場所であればその場所に生息する生物を予測しておくのも安全への第一歩に繋がるでしょう!海に対する知識は自分自身の身を守るだけではなく、大切なバディや仲間を助けることに繋がるかもしれません。ダイビングを続けていく上での大切な知識を身につけましょう!
kahori