ダイビングスキル

ダイビングに欠かせない耳抜きについて!

ダイビングに欠かせない耳抜き!そもそも耳抜きが不安でダイビングを始める事が出来ない方や耳抜きを知らずに深く潜り、耳を傷めてしまった経験がある方も少なくないとは思います。耳抜きに悩みダイビングを楽しめない事が無いように耳抜きについて知っておきましょう!

耳抜きって何?

スキューバダイビングやスキン&フリーダイビングとは海水浴で水面を泳ぐスノーケリングとは少し違い、深度の深い所へ潜りに行く水中でのアクティビティです。その為、通常の陸に比べて耳に水圧がかかります。耳に薄い膜が張ったような聞こえ方になったり耳に痛みや違和感を感じる症状となります。多少の個人差はありますが水深が深ければ深いほど違和感の感覚が大きくなります。耳は聴覚と平衡感覚を左右する繊細な器官であり、ダイビング中に発生する急速な圧力変化には対応できません。その為自分たちで正しい耳抜きができるようにならないと軽い耳の不具合から永久的な損傷まで様々な耳の症状に襲われてしまう可能性もあります。今回はそんな耳抜きのコツと方法をお伝えします。

日常生活でも耳に違和感を感じるタイミングがあるのです!

耳抜きが必要になる場所は水中だけではありません!実は皆さんが普段生活をしている時にも耳に違和感を感じ耳抜きが必要になる方もいます。例えば、スカイツリーにもぼるときのエレベーターに乗った時や車で標高の高い峠を越えた時、飛行機に乗って離陸した時など陸上でも気圧の変化を感じるタイミングで耳に違和感を感じる事があるはずです!

ここまでお話をしているこの【違和感】を直す方法を【耳抜き】と言われます。

耳抜きをしないとどうなるの?

耳抜きの方法を知らずにダイビングを続けてしまった場合どのようになるのでしょうか?耳に違和感を感じた時、正しく耳抜きが出来ていないと耳がキーーーンとするような痛みを感じます。それ以外にも、症状として良くあるものが「中耳炎・耳閉感・鼓膜穿孔・めまい・難聴」などに当たります。我慢をしてダイビングを続けてしまうと鼓膜が破け、破けた所に水やばい菌が入りめまいを起こすなど悪循環に繋がってしまうのです。ダイビング時少しでも違和感を感じたら早めにダイビングを切り上げたりしっかり対処をする様に心がけましょう!

海で耳抜きが必要な理由は?

みなさん2つの圧をご存知ですか?1つ目は気圧、2つ目は水圧です。気圧とは「気体(空気)により生じる圧」の事を言い、水圧とは「水により生じる圧」の事を指します。

陸で起こる気圧の変化に比べて水中で起こる水圧の変化の方が耳への負担が遥かに大きいため耳抜きが必要となります。上記写真のように体積は小さくなるので耳がどんどん水圧により内側に押し込まれる状態になります。押し込まれているものを放置したまま更に下に潜ると限界を超え鼓膜が破れる最悪の状態になってしまいます。水圧によって押し込まれた空気を耳抜きという方法で一度クリアにしているのです!

耳抜きの方法を知ろう!

耳抜きには複数のやり方があります。複数のやり方の中でどんな方法が自分に合うのか、できるのかは耳の構造や個人によって全然変わってきます。様々な方法を実践してみて合うやり方を見つけていくことが大切です。また、耳抜きが上手くできなかった日に違う方法が試せるよう1種類だけではなく、2種類以上のやり方を覚えることをおすすめします。

①鼻をつまんで抜く方法
大きく分けてこの中でも2種類に分かれます。

  1. お腹に力の入る【バルサルバ法
  2. お腹に力の入らない【フレンツェル法

②鼻をつままずに抜く方法
この中でも大きく2種類に分かれます。

  1. 唾をのんで抜く【ツインビー法
  2. 特に意識をせず自然と抜ける【随意耳管開放法

大きく分けるとこの4種類に分ける事が出来ます。今回はこの代表的な4つについてご紹介をしていきます。

バルサルバ法について

耳抜きの中で最も一般的な方法と言われています。鼻をつまんで鼻に圧力をかけて息む方法で、ほとんどのダイビング講習で習う耳抜きです。口を閉じた状態で鼻を軽くつまみ、鼻をかむときのイメージで少しずつ息を吐き出します。耳に違和感や痛みを感じる状態では、鼓膜が内側に引っ張られています。この方法で息を吐くと耳管から空気が送られてくるので、耳管が開いて鼓膜を外側に引っ張ることができ、正常な状態に戻すことができるのです!鼻がつまみにくい場合は両手の人差し指を使ったり、鼻の穴を塞ぐようにしたりしても構いません。鼻から息が漏れないよう、しっかりとつまんでください。

この方法は比較的習得しやすく普段のトレーニングも簡単にする事が出来ます。その反面酸素の消費量は多いのでスキンダイビングやフリーダイビングの時には酸素消費が激しくなってしまいます。酸素不足の為ある程度の深度から耳が抜けなくなります。

フレンツェル法について

フレンツェル法は耳への負担が一番少ない耳抜きの方法で、一番理想的な耳抜き方法といわれています。鼻をつまみ、お腹に力を入れず喉と口腔内の空気を送り込む方法です。フレンツェル法は耳への負担が一番少ない耳抜きの方法で、一番理想的な耳抜き方法といわれています。鼻をつまんだ状態で舌の奥の部分・舌根を持ち上げるだけですがこれが意外にも難しく練習が必要となります。口を開けた状態でもバルサルバ法ができるようになると、フレンツェル法も簡単にできるようになります。

この方法は酸素の消費量も少ないのでお勧めです。空気の量を調整しやすく、複数回の耳抜きが可能です。連続して素早く抜くことが出来るので早い潜降も問題なくできます!その反面少し習得に時間がかかります。深い深度に潜る場合は習得が必要となります。

ツインビー法/随意耳管開放法について

耳に優しい方法で最もおすすめの耳抜きがこの「ツインビー法」と言われています。唾を飲み込むような動作で耳の入り口を開くと耳が抜ける仕組みになっています。やり方自体はシンプルで簡単に見えますが実は難しくできない人の方が多いです。生まれつき耳が抜きやすい人・抜きにくい人はどうしてもいます。

この方法は手を使用せずに耳抜きができるのが1番のメリットです!反射で耳抜きをすることが出来るのでストレスが少ないと言われています。その反面、このスキルができるダイバーはごく僅か…。唾をのんでいるだけで空気を送り込んでいる訳ではないので圧平衡の力が弱いです。また、この方法しか習得していないダイバーは抜けなくなってしまった時の対処法に困ってしまいます。

耳抜きが出来ない原因と上手になる為のコツ

耳抜きには沢山の種類がありますが自分に合う耳抜きの方法を見つけるのには時間がかかります。うまくできなくてダイビングを諦めてしまったダイバーも存在すると思います。そんな時、どうして抜けないのか原因を知る事が大切なのです。耳抜きが出来ない理由はいくつかあります。

  1. 耳抜きをするタイミングが遅い
  2. 耳抜きの回数が少なく間に合わない
  3. 鼻の穴をしっかり塞ぐことが出来ていない
  4. 口から空気が漏れてしまっている

などの原因が良く上げられます。多くの原因は耳抜きのタイミングを分かっていないダイバーが多い事なのです。耳抜きは水深10mまでがとても重要かつ難しいと言われています。多くの人はダイビングを始めた時「耳が痛くなったら抜く」という勘違いをしています。痛くなってから耳抜きをするのはもう手遅れです。よく耳に不快感や違和感を感じたら抜くタイミングだと書かれている文章もありますが、耳に圧迫感を感じた瞬間からもう耳の状態は正常とは言えません。では、圧迫感を感じる前とは一体そのタイミングなのでしょうか?

圧迫感を感じる前に耳抜きをしよう!

水面で1度耳抜きをする癖を付けましょう。その後、10m地点まで潜降が完了するまでは50cmに1回のペースで耳抜きをする事をお勧めします。体質によりそんなにやらなくても大丈夫!というダイバーもいるかもしれません。しかし、違和感を感じる前に耳抜きをするのであればできるだけ【こまめ】に行う事が重要なのです。私は5mの深度間で耳抜きを5回は行う様にしています。痛くなってからでは遅いという事を忘れないで下さいね!その他、鼻をしっかりとつまめていなかったり、口から空気が漏れていたりすると、耳に空気が送られず耳抜きができません。鼻や口から空気が漏れないよう、しっかりと閉じてください。

体調管理をしよう!

ダイビング前日の寝不足・二日酔いは耳が抜けない1つの大きな原因となります。ダイビングを楽しみたければ前日はしっかり睡眠をとる事、お酒による二日酔いを防ぐ事を意識しましょう。体調不良による鼻詰まりも耳抜きが出来なくなります。元々耳抜きが苦手な人は更に耳が抜けなくなりますので、潜る前まで顎や耳回り、首など少しマッサージをしてあげると筋肉が緩み少し抜けやすくなります!

リラックスしよう!

耳抜きは肩の力を抜いてリラックスして行うことが大切です。緊張による身体の硬直やドキドキから耳抜きを忘れてしまったり水中で冷静になる事が出来なくなる修正があります。心を落ち着かせてリラックスする事を心がけましょう。

耳が痛くなったら無理をしない様にしよう!

痛くなった状態で我慢して深く潜ろうとすると耳に負担をかけてしまいます。抜けない場合は、耳抜きしたい方を水面に向けてあげると効果的です。ダイビング中に片方だけ抜けない事も良くあります。耳抜きしたい方を上に向けて力まずゆっくり耳抜きしましょう。それでも耳抜きが出来ない場合は、その深度よりも少し浅い場所へ移動し再度耳抜きをしてみて下さい。圧のかかりすぎで抜けない場合もありますので、痛くなったら少し浮上して再度挑戦してみて下さい!


どうしても耳抜きが出来ない!自分で練習するにも方法が分からない人は?

耳抜きは知れば知るほど奥が深く練習が必要になります。TrueNorthでは耳抜きに悩むダイバーの為の「オンライン講習」を行っています!その名も耳抜きマスターコース!耳抜きの方法や種類、自宅での練習方法を2回に分けて講習致します。構造が分かれば理解をし、練習も習得もできます。気になる方は定期開催してますので下記内容をご覧下さい!

見抜きマスターコース


まとめ

癒しを求めて、潜りに行くダイバーが殺到するこのマリンアクティビティ!事故や怪我が無いよう危険を理解し対処できるように耳抜きも大切な習得スキルなのです。ダイビングを楽しむ為には欠かせない重要スキルですので、今まで苦手意識があった方や毎回のダイビングで悩まされている方はしっかり向き合ってみましょう。耳抜きが出来ない原因を探し一緒にトレーニングをしていきましょう!!複数の耳抜きの方法を練習し、ダイビング前に耳抜きをしたりマッサージをしたりするなど、準備を行ってからダイビングしましょう。また、水深10m程まではこまめに耳抜きをして、耳がつまらないように意識することも大切です。それでも不安や問題が残る場合は、早めに耳鼻科を受診しましょう。ダイビングについて詳しい耳鼻科も存在しますので誰かに相談をするという事が出来るようになって下さいね!

解決しダイビングを存分に楽しめる素敵なダイバーになりましょう!

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