器材について

【水中に居続ける為のアイテム】スキューバダイビングで使用する器材

普段は呼吸ができない海の中!そんな海の中に1時間近く潜り続けるという普通の人間にはできない事を楽しむダイビングは実に魅力的なレクリエーションだ。ダイビングを行う上で最も大切な事は性別でも年齢でも身体能力でもセンスでも無く、水中で自分を守ってくれるダイビング器材!ダイビング器材を正しく装着する事ででみな平等に水中世界を楽しむ事が出来る。水中世界を安全に楽しむ為に必要な道具は実は結構多いのだ。

海の中≒宇宙

ダイビング器材を語るうえで欠かせないのが海の中と宇宙というのは何かと共通点があるという事だ。どちらも共通して言えることは下記の通り。

  • 呼吸をする事が出来ない
  • 気圧の変化が激しい
  • 寒い
  • 重力が陸上の感覚と異なる

以上のような事があげられる。

その為実はダイビング器材の中には宇宙飛行士のために作られた素材やシステムを応用している物もあるし、宇宙飛行士の船外活動の訓練等は実際に水中の中で行われることもある。もちろん海の中で活動する事と宇宙空間で活動する事では危険度は圧倒的に宇宙空間の方が高いが、どちらも道具に頼らなくては人間は生存することが出来ないという事は共通している。スキューバダイビングという遊びにとって宇宙空間に行くことと同じくらいダイビング器材というものは大切で、装備も多くなる。その分重量は増えてしまい、陸上での活動は大変だが水中では重さを感じずに過ごすことができる。

ダイビング器材の種類と役割

実際にダイビングで使用する器材はダイビングをする環境の状況や潜る深度等で異なってくる。その為必ず使用する器材と、特定の状況下で必要な器材、なくてもいいけどあったほうがダイビングが快適になる器材と3つに分かれる。今回はスキューバダイビングを行う際になくてはならない器材を紹介しようと思う。

必ず使用する器材

シリンダー(タンク、ボンベ)

そもそもこれが無いと水中で呼吸をする事が出来ない!容量は8リットル~14リットルなど様々で、その人の呼吸の速さや潜る深度、時間などによってシリンダーの容量を選択する必要がある。大きさは1mもないのにおおよそ150~200気圧程に圧縮した空気が入っているため、陸上であれば2時間以上は呼吸できるくらいの空気を持ち歩く事が出来る。素材はスチール製とアルミ製が主流。国内では昔は個人で所有している人もいたらしいが、今は全くと言っていいほど個人で所有せず、海の近くでレンタルをする事が主流となっている。

レギュレーター(1stステージ・2ndステージ)

ダイビング史上もっとも進化してきたのがこのレギュレーターだ。シリンダーに入っている圧縮空気を普段の呼吸と同じような感覚で呼吸が出来るようにしてくれる。レギュレーターというのは総称のシステム名のため、正確には1st(ファースト)ステージと2nd(セカンド)ステージと呼ぶ。この2段階のステージで200気圧もの高圧の空気を普段の呼吸程度の圧力になるまで減圧を行っているものすごい器材なのだ。安価なものと高価なもので性能が変わり、高価なものはどんな水深にいても呼吸のしやすさが変わらないが、安価なモデル(ごく一部だが…)に関しては深い水深下で呼吸がしづらくなるため、購入する場合にはある程度のスペックの物にしないとその辺のレンタル器材のほうが呼吸がしやすいなんてことになりかねない為注意しよう…。口にくわえて呼吸をする物を2ndステージと正しくは呼ぶ。

オクトパス(予備の2ndステージ)

レギュレーターシステムに組み込む予備の2ndステージ。自分のメインの2ndステージが壊れてしまった時や、他のダイバーのシリンダー内の空気が無くなってしまった際に自分の空気を分け与える為に使用する。一般的なダイビングのルールとして緊急事態に備えて装備することが義務付けられている。「緊急時はインストラクターが助けるから自分には必要ないんじゃないか?」と考える人もいるが緊急事態にインストラクターが必ずしも一番近くにいるわけではないのでちゃんと装着しよう。

残圧系

シリンダー内の空気があとどれくらい残っているのかを調べる事ができる器材で1stステージに装着して使用する。これが無いといつ空気が無くなってしまうのかがわからなくなってしまうため装着は必須である。ちなみに昔のダイビングではこの残圧系が発明されていなかったため空気の残量がわからない状態でダイビングをしていたとの事。

BCD(BCジャケット)・ハーネス

どちらもシリンダーに装着することで、リュックを背負うようにシリンダーを持ち運ぶ機能があるが異なるもので、ハーネスはシリンダーを持ち運ぶ機能のみしかないのに対しBCDはさらに空気が出し入れできる機能がついている物の事を指す。世の中のほとんどの人はBCDを使用している。BCDの役割はシリンダーを持ち運ぶ以外にも「浮力調整」という役割があり、これを使う事で水中で無重力のような状態になる事が出来る。それ以外にも水面では空気をたくさん入れることで浮き輪のように浮く事が出来る。

マスク

水の中は裸眼ではぼやけて景色を楽しむどころではない為このマスクを使用する。水中ゴーグルと同じ感覚で水の中をはっきりと見る事が出来る。特徴的なのは鼻までマスクに入る事。実はこの作りがとても重要!水の中では水圧という力がかかり、空気が小さくなる。どれくらい小さくなるのかというと10m潜ると空気の大きさ(体積)になる。そうなると大変なのがマスクの中の空間で、ものすごく圧迫される。どれくらい圧迫されるのかというと、本当に目玉が飛び出そうになるくらい圧迫される。そのためにわざとマスクの中に鼻から空気を送ることでこの圧迫を防ぐのだ。絶対に水中ゴーグルでダイビングをするのはやめよう!

シュノーケル

たまにダイバーの人に「着けなくてもいいですか?」と聞かれるくらい正直結構邪魔な存在のシュノーケル。実際使用するのは水中に入って潜降する場所までの移動でしか使わないので、こう言われてしまってもしょうがないのだが、実は結構大切で命に係わる事もあるのがこのシュノーケル。どんな時に必要になるのかというと海面が荒れている時や漂流してしまった時で、これがあるだけで生存率は上がる。シュノーケルは顔が水につかってしまっても呼吸をする事が出来るので、多少波が高い場合でも漂流してしまってシリンダーが空になって浮くことができなくなってしまっても使用方法を正しく知っていれば呼吸し続けられる。だからみんな絶対つけよう!ちなみにどうしてもつけたくない人はコンパクトに丸める事が出来る製品もあるのでそれもオススメ。

フィン

水中で泳ぐ為の器材。「普通にバタ足で進めるんじゃないの?」って人は試していただくとわかるのだがびっくりするほど進まない。シリンダーなどが水の抵抗になる為、強い推進力が無いと進むことができないのだ。どのダイバーも最終的に最もこだわるのがこのフィンで形状や材質、硬さや長さによって使用感が様々。ダイビングのスタイルによって履き替えるとダイビングが楽になる為、1人で数本のフィンを所持しているダイバーが多い。

ダイブコンピューター

水中では水圧の影響で空気が圧縮され体には圧力がかかる為、陸上に比べてかなり過酷な環境に体はさらされている。つまりあんまり水中に居続けるのは体にとって悪影響を及ぼしかねないのだ。だが何が困るのかというとその過酷さをまったく実感できないという事で、気が付かないうちに体に影響を及ぼしてくる。そんな悪影響なりうるものを計算して私たちに教えてくれるのがこのダイブコンピューター。あと何分くらいなら安全に潜れるかを教えてくれ、危なくなるとアラームまでならしてくれる。これが無いともはや水中を安全に楽しむことができないというくらい重要な器材。

ダイビングスーツ

水中は陸上に比べて非常に寒い。30℃の気温では半袖になっていても暑いと思うが、30℃のぬるま湯は半袖で使っているとたちまち寒くなってくる。0℃の気温は気合を出せば耐えられるが0℃の水中(もはや氷)に肌をさらすと我慢できないほどの苦痛を感じる。それくらい水というのは体温を奪っていくのだ。その為にダイビングではダイビングスーツと呼ばれる「ウエットスーツ」や「ドライスーツ」という体を保温する器材を装着する。ダイビングスーツの役割は保温だけではなく、ほとんどのスーツが人間1人くらいなら十分に水面に浮く事が出来る程の浮力を持っている。また、クラゲやサンゴ、貝などから肌を守ってくれる役割もある。どんなに水温が高くても基本的に装着することがオススメ。

グローブ

何かと海の中は尖っている物が多い為手を切ってしまうことがある。そんな時に手をケガから守る為の器材がグローブ。水温が低い時には分厚いグローブをつける事で手を保温することもできる。やはり既に比べるとものを操作したり準備することがしづらくなる為ダイビング中級者になるとみんな外したがるのだが、ケガをするとまた装着する。多少器材の操作が行いづらくなってもケガをしてしまうよりはいいので、グローブを装着した状態で器材を操作できるようにする事がオススメ。

ブーツ

足を保温したりフィンで足がすれてケガをするのを防ぐための器材。実際ブーツに関してはフィンのタイプによっては装着しない人もいる。ただ足は結構冷えるので、よほど水温が高くない限りは装着する方がいいだろう。靴底が厚く、陸上を歩くときに岩の上を歩いてもいたくない物やコケの上でも滑りづらい物もあれば、薄くて素足で履いた時と同じようにフィンがフィットする物までタイプは様々。フィン同様シチュエーションによって履き替える事も多い為、複数所持しているダイバーも多い。

ダイビング器材を購入する時の注意点

ダイビング器材は多くのメーカーが販売しており、それぞれ特徴が異なる為、ある人にとっては最適な器材も自分には合わない器材だった…という事もありえる。ダイビング器材が自分にあっていない場合にはダイビングが大変になり、場合によっては苦痛を感じる事もある。その為ダイビングを快適にするには、まずは自分に合っている器材を見つける事が大切である。ダイビング器材の種類ごとに考慮すべき点がある為ここには書ききれないが、購入する際に考慮したほうがいいポイントがいくつかある。

実際に手に取って触ってみる

自分が欲しいと思って器材が必ずしも自分に合うのかは手に取ってみないとわからない。ダイビング器材は高額な製品もあり、またかなり長い間使用出来る程頑丈に作られている為、購入する際にはしっかり自分に合っているのか触ったり試着する事が大切だ。触ってみると想像していたよりも重かったり小さかったり…様々な要因が自分にとってストレスになることがあるので実際に見たことも触ったこともない器材を購入するのは控えたほうがいいだろう。

可能であれば水中で試してみる

最も理想的なのはこの水中で試すという事。陸上で触るよりも実際に水中で試すことでその器材の特徴を実感することができ、自分に合っているかあっていないかがわかる。ダイビングショップの中には水中でお試しできるように器材のモニター品を用意しているショップもある為、気になる器材がある場合にはあらかじめダイビングショップに問い合わせてみるといいだろう。また、ダイビング器材メーカーは年に数回モニター会というイベントを開催することがある。気になる器材を実際に水中で試すことができるチャンスなので、器材購入を検討している人はこういったイベントを上手に利用するといい。

アフターサービスを調べる

どんなに大切に器材を扱っていてもいつかは壊れてしまう。その際にアフターサービスが整っている器材でない場合には修理が出来ず最悪新しい物を購入しなくてはならない場合もある。ダイビング器材メーカーによっては細かい修理や交換パーツなどを豊富に取り揃えており、気に入った器材を長く使用できる環境を整えてくれているメーカーもある。また修理費用や補償内容もメーカーにより異なる為、購入の際にはそこも考慮するといいだろう。アフターサービスについては器材カタログやメーカーホームページに記載されていることがほとんどだが、わかり辛い場合にはダイビングショップに尋ねてみると教えてくれる。

使用方法を教えてくれるダイビングショップで購入するほうが楽

ダイビング器材を購入すると取扱説明書が入っている為、それを読めば基本的に問題なく使用することができる。中には保管方法や洗浄方法が他のモデルと異なる物もある為注意が必要。ダイビングショップで器材を購入するとそういった注意点を詳しく教えてくれたり、より便利に使用するための組み合わせなどを解説してくれる。説明書を読むのが苦手…といった人はしっかりと器材の事を教えてくれるダイビングショップで購入すると楽である。

 

海の中という人間には見る事ができない世界を探検するスキューバダイビング。自分の命を器材に任せる遊びの為、器材選びは最も大切な事。自分にぴったりのダイビング器材を見つけて安全により楽しく水中を楽しんでほしい。

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