ダイビングスキル

【空気が減るのが遅くなる】ダイバーがフリーダイビングを始めると?

水中でタンクから空気を吸い、呼吸しながら海の中を楽しむ【スキューバダイビング】。対して息を止めて水中を楽しむ【フリーダイビング】。どちらも水中世界を楽しむ人気のアクテイビティだが、「両方やっているといい事あるの?」と質問を頂くことが多々ある。確かに一見関係が無さそうだが、実はそんなことは無く両方楽しんでいると両方にとっていい事が盛り沢山!今回はダイバーがフリーダイビングを始める事のメリット、そして実際にフリーダイビングを始める為にはどうすればいいのかを紹介する。

「フリーダイビング=苦しい」というわけでもない

ダイビングをしている人の多くに言われるのが「水中で息を吸いたいからダイビングをやっているのに、わざわざ息を止める事なんてしたくないよ!」という事や「苦しいの嫌いだからやりたくない」といった声だ。たしかに!と、正直思う。なんなら私も苦しいのは嫌いだ! 最初に知っておいてほしいことは「フリーダイビング=苦しい」では無いという事。もちろん限界ギリギリまで息を止める事を競うフリーダイバーも多くいるが、ほとんどのフリーダイビングを続けている人はそうではなく「苦しく感じない時間を長くする」事を目標にしている。そうすることで水中で苦しいのを我慢せずに気持ちよく泳ぐ事ができる時間を長くする事が出来るようになるのだ。なので苦しい思いをする必要があるコースでは無いという事をまずは知ってほしい。

フリーダイビングを始めるメリット7選

実際にダイバーがフリーダイビングを始めて見ると想像以上にメリットが沢山ある。水中で息をしているダイバーだからこそ呼吸ができなくなるような緊急事態に慌ててしまうのだ。緊急事態に慌ててしまうというのは最悪の状態。ダイバーはいかなる時も水中では冷静にならなくてはならないのだ。そんな「いかなる時でも冷静に」なる秘訣がフリーダイビングには詰まっている。

空気が減るのが遅くなる

「まさかそんな…簡単に空気の減りが遅くなるわけないじゃないか。」と、思う方もいるかもしれないがこれが本当に空気が減らなくなる。フリーダイビングは息をなるべく長く止める為に様々な練習をするのだが、その中で行う【呼吸の仕方】や【無駄な動きを減らす】といった事がスキューバダイビングで生かされて空気の減る速度が遅くなる。 空気の減りがなぜ早くなってしまうのかというと、ダイビング中に無駄な動きが多くそれにより息が上がっている事がほとんどなのだが、その息が上がっている状態にそもそも気が付いていない人が非常に多い。自分の呼吸が今平常なのか早くなっているのか。体に力が入ってしまっているのか等を細かくチェックするフリーダイビングを学びそれが身についていると、空気の減りが早くなる原因を無意識のうちに自分で解消する事が出来るようになる。結果ダイビング中に空気が減る速度が遅くなってくるのだ。

水中でのトラブル時に余裕が生まれて安全に対処することが出来るようになる

例えば水中で急にレギュレーターが取れた時。余裕をもって対処できる自信がある人はそこまで多くないと思う。(本来はできるようになっていないといけないのだが…)理由としては単純にそんなに息が持たないと思っているから。実は人間は自分の想像以上に息を止めていられる。実際フリーダイビングを初めて習う人も何も知らない状態だと1分息が止まれば長い方だが、1日講習を行うだけで2分以上息が止まるようになるのは普通で、すごい人だと最初から4分息を止めてしまう猛者も現れる。それくらい人間は息を止める事が出来る。レギュレーターが取れてしまっても2分息が止められれば間違いなく見つけて咥えなおすことができるので、トラブルが起きても心に余裕を持って対処することが出来るようになるだろう。 なぜフリーダイビングを習うとそんな簡単に息を止める事が出来るようになるのかというと、みんな息の止め方を習ったことが無いからだ。小学校、中学校と息を止める方法という授業があった人はいないのではないだろうか?みんな息を止める方法を知らないだけで、実は人間は2分くらいは普通に呼吸を止めていることができるのだ。また、フリーダイビングでは息を止めていられる限界の手前の状態を学ぶこともでき、また人によってはそれをフリーダイビングの講習中に感じることもできる。そうなるといざという時に「まだ限界の状態になっていないから大丈夫!」といった具合で冷静に自己分析ができるようになる。単純にフリーダイビングを知っているだけで、無駄に慌てることなく安全にダイビングをする事が出来るようになるのだ。

泳ぐのが上手になる

フリーダイビングほどフィンキックを真剣に練習する遊びは無いと思う。フリーダイビングでは息を止めてどれだけ長い距離を泳げるか、どれだけ深い所まで潜れるかを競うため、フィンキックをするのに必要な最小限の力やリズム、蹴り方、果てには使う筋肉の種類まで気を遣うようになる。実際私もフリーダイビングを行っているのだが、やはり身につく前と比べると少ない力で泳いでいるのに泳ぐ速度が速くなった。ダイビングでもフィンキックは習うが、余計な力を抜いてキックをするというのを伝えているインストラクターはほとんどいないだろう。フリーダイビングを習っていた人がダイビングを始めると泳ぐのが綺麗すぎてびっくりする。筋肉の使い分け迄できると、まったり泳ぐダイビングでも「疲れてきたから違う筋肉を使うキックをしてみよう」というのが出来る。潮流に逆らって泳ぐときも力任せにキックして足がつってしまうといった事が少なくなり、他の人よりも疲れないで前に進む事が出来るようになる。水中を泳ぐダイビングにとってフィンキックは実はとても大切なスキルな為、これは一度試してみてほしい。

耳抜きが上手になる

ダイビングをやっていて耳抜きを真剣に練習する人は少数派でほとんどの人は何となく耳抜きをしている。だが、フリーダイビングは違う。フリーダイビングはダイビングよりも耳抜きが難しく、その為耳抜きの練習を沢山行う。耳抜きには実は色々な種類があり、一つの方法ができない場合には他の方法で耳抜きが出来る事もある。また、より成功率が高い耳抜きの方法があったり、もっと耳に優しい耳抜きの方法などもあったりする。一般的に使用される鼻をつまんで鼻をかむように行う耳抜きは実は耳にとって一番悪い耳抜きで、場合によっては耳を痛めてしまう人も…。ダイバーにとって耳はとても大切な為、やさしく耳抜きをしてあげてほしい。

ドルフィンスイムで人気者に

普段ダイビングを楽しむ人でもイルカと泳ぐのが好きな人や、泳いでみたいと考えている人も多いのではないだろうか?イルカと泳ぐドルフィンスイムも大きくくくるとフリーダイビングであり、イルカと泳ぐ為に必要なスキルがたくさん詰まっている。イルカは実は水面にいる人よりも水中にもぐっている人の方に興味を持ちやすく、水中にもぐっていると自分の周りをイルカがぐるぐると、まるで遊んでくれているような動きを見せてくれる。想像してみてほしい。もし自分がドルフィンスイムのツアーに参加して、ほとんどの時間を水面に浮いて過ごしている…潜れても5mがやっと…という状態の時に水深10mくらいを余裕で潜り、イルカと長い間遊んでいる人の姿を…。普通にかっこよくないだろうか?実際ダイバーでフリーダイビングの技術を持っている人は現状そこまで多くはない為、自分だけが潜れるともしかしたらイルカの視線を独り占めにできてしまうかもしれない。一緒にドルフィンスイムをしている人たちの人気の的になれるかもしれない。イルカにも人間にも人気者になれるチャンスだ。

ダイビングが楽に、もっと楽しくなる

以上の事からダイビング自体がとても楽になる人が多い。泳ぐのが効率よくなり耳抜きも楽にできるようになる。ダイビングを楽しむ事に最も必要な事は「水中でのストレスをなるべく無くすことでコントロールできる」ようにする事。そうすることでより安全にダイビングをする事が出来るのはもちろん、水中での視野が広がり水中の景色をより堪能することが出来るようになり、先を読んで行動をすることが出来るようになる。フリーダイビングをやってみるだけで水中で余裕が生まれてストレスなく海を楽しむ事が出来るようになる。それによって空気の減りもゆっくりになりより長く水中を楽しむ事が出来るようになる。フリーダイビングを始めるという事はダイビングを楽しんでいる人にとってメリットが沢山あるのだ。

新しい楽しみを見つけるチャンスにもなる

ある意味これが一番ダイビングを楽しんでいる人にフリーダイビングを初めて欲しい一番の理由かもしれない。フリーダイビングで息を止めて泳ぐことが出来るようになるとドルフィンスイムも楽しむ事が出来るし、重器材を使用しないで身軽に海を潜るスキンダイビングも楽しむ事が出来るようになる。これがまたダイビングとは一味違う楽しさがあり、熱中する人が続出する。器材に頼らないで自分の技術のみで海を楽しむフリーダイビング。海と自分と真剣に向き合う事が出来る。

フリーダイビングの始め方

フリーダイビングを始めるには各指導団体のフリーダイバーコースに参加する必要がある。様々な団体で開催をしており、それぞれ内容は若干異なるが基本的には一緒。ダイビングの指導団体であればほとんどの団体が開催しているので、ダイビングのライセンスをすでに持っている人ならばそのライセンスの発行団体のコースに参加するのがいいだろう。当店ではダイビングの指導団体であるPADIが作成したフリーダイビングライセンスコースを開催している。PADIではフリーダイビングの入り口が2つ用意されているので、自分の興味にあっているコースに参加するといいだろう。

PADIベーシックフリーダイバーコース

フリーダイビングで必要な知識を学び、プールでのトレーニング方法を1日で習得する体験コース。フリーダイビングの中にある知識面や呼吸の止め方を身につける事が出来るお試しプランに近い。講習も1日で終了できるので気軽に参加することができる。

PADIフリーダイバーコース

基本的にフリーダイビング始めるならここから!ダイビングでいうオープンウォーターダイバーコース(OWD)的な立ち位置のコース。1日目で学科講習とプール講習を行い息を止める方法と泳ぐ基礎を学び、2日目の海洋講習で10mの潜水を目標に講習を行う。フリーダイビングをしっかりと学びたい方やドルフィンスイムで人気者になりたい方はこちらがオススメ。

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