ダイビング中マスクに水が入ってストレス…。そんな事を感じてしまうと折角のダイビングの思い出も残念な思い出になってしまう。スクーバダイビングを行う上で必須となるマスクというダイビング器材。自分の顔に装着する為、器材の中でも特に自分に合った物を選ぶことが重要な器材だ。今回はそんなマスクの選び方を解説!
マスクとゴーグルって違うの?
「水中で物を見る」という共通の目的で使用されるマスクとゴーグル。一見同じようだが実は全く異なる。水泳などで使用されるゴーグルはレンズ部分がプラスチックでできており、陸上のめがねと同様に目の部分しか覆わないが、ダイビング用のマスクはレンズ面は強化ガラスでできており、鼻まで覆うような作りになっている。この違いのうち特に「鼻まで覆われている」というのがダイビングでは重要な形状。最大水深40mもの深さに潜る事があるダイバーには最大で陸上の5倍もの圧力が体にかかる。圧力がかかると何が起こるのかというと、空気が圧縮されるのだが、例えば水深40mではこの空気は1/5の大きさに圧縮される。基本的に人体には閉鎖された空間が無いが、顔に装着しているマスクと顔の隙間の空間にある空気が圧縮されてしまう為、何もしないと目にダメージを受けてしまうのだ。鼻が覆われていることでマスクの中の空間に鼻から息を吐く事でこの圧縮を防ぐ事が出来、目にダメージを与えずにどんな水深でも快適にダイビングを行う事が出来る。その為水泳で使用されているゴーグルで数メートルでも潜る事は危険な場合があるので絶対に行ってはならない。
ダイビングマスクの種類
一言でマスクといってもいくつか種類がある。大きく分けるとレンズ部分がメガネのように2枚に分かれているタイプの「2眼マスク」とレンズが1枚のガラスでできている「1眼タイプ」の2つだ。それ以外にも普通のマスクでは大きすぎる小顔の人に向けて制作された「女性向けモデル」や裸眼での視力が低い人の為の「度入りマスク」もある。
2眼タイプ
ガラスレンズが2枚に分かれている2眼タイプのマスクは構造上最も無駄のないつくりをする事が出来る為、最も人気のモデルだ。1眼タイプに比べ視野が広く、またマスク内の空間も小さくなる為水中でマスクがズレづらい等のメリットがある。反面普段メガネをつけていない人にとっては両目の間に在る部分に違和感を感じる人もいる。
1眼タイプ
ガラスレンズが1枚でつながっている1眼タイプのマスクのメリットはなんといっても解放感。視界を遮るものが無いので、まるでマスクを装着していないような景色を楽しむ事が出来る。ガラスの形状が制限されるため、2眼タイプのマスクに比べると実際の視野は狭いことが多く、マスク内の空間も大きくなる為水中でマスクがズレやすい等のデメリットもある。また、ほとんどのメーカーで1眼タイプのマスクは度付きの物にすることができない為、視力が低い人がコンタクトを使用しない場合には使用できない事もある。
女性向けモデル
全てのマスクは基本的に男女兼用のモデルとなっている為「男性用マスク」や「女性用マスク」というものは存在しない。その為ほとんどの人は通常のマスクを使用すれば問題ないのだが、中には小顔の為普通のマスクでは大きすぎるという人もいる。そのような人が使用する為に制作されたのがこの「女性向けモデル」のマスクだ。通常のマスクよりも全体的な大きさを小さめに制作し、またマスクを装着した後が残りづらくなるような工夫がなされていたり、UVカットが施されているなどの女性に嬉しい機能が搭載されている。女性向けモデルとメーカーは歌っているが、小顔な男性や子どものダイバーも利用している人は多い。
度付きマスク
裸眼での視力が引くく、コンタクトを使用しないダイバーのために度入りのレンズに変更したマスク。一般的に販売されているマスクに別途レンズのみ購入してレンズを交換して度付きマスクにするのが普通。普段コンタクトを使用しない人やハードタイプのコンタクトを使用している人はこのマスクを使用することで水中でもはっきりと水中景色を楽しむことが出来るようになる。また、ソフトタイプのコンタクトの人でも水中でコンタクトが取れてしまう事を想定してこのマスクを使用する人もいる。反面マスクを装着していない陸上での過ごし方はやや工夫が必要。このタイプのマスクはソフトタイプのコンタクトが流通してからやや少数派になった。
マスクを選ぶときに考慮すべき点
様々なタイプのマスクがあるが、最も大切なのは「自分の顔にあったマスク」を使用する事。値段が高い物の方が一般的にはフィット感が高く作られているが、誰にでもそれが当てはまるわけではない。重要なのはスペックよりも形状や大きさの為、マスクを選ぶときは試着をしてから購入することがオススメだ。ここでは試着をした時に確認すべき点やそのほかの機能の違いを紹介するので、マスク選びの際に参考にしてほしい。
フィット感
やはり最も重要なのはフィット感。ダイビング教材などによく書かれているのは「顔に当てて鼻から吸った後に顔からマスクが落ちない物が自分にフィットしているマスク。」とあるが、正直最近のマスクで顔に当たる部分がシリコンでできているマスクなら鼻で吸えば顔から落ちない。また、水中では自然とマスクの中で空気が膨張するシーンも多いため、この方法だけでマスクを選んでしまうとマスクに水が入るトラブルが起こる事もある。
フィット感の調べ方は下記の方法がオススメ。
・マスクをやさしく顔に当ててなるべく顔とマスクの間に隙間が少ない物
・顔にあてて鼻で息を吸った際に鼻にマスクの一部が一切当たらない事
・目の両端にシリコンがかからない事
・マスクの顔に当たる部分がシリコン素材である事
これらの事を考慮する事で自分にとって最もフィット感のいいマスクを見つける事が出来る。顔に当たる部分は安価なマスクだとシリコンではない素材を使用している物もある。シリコン素材が現在最も顔に吸い付きやすい素材としてマスクに導入されているので、顔に当たる部分はシリコン素材の物にこだわるのがオススメだ。もしすでに自分のマスクを所持している人はこれらを試してみてはいかがだろうか?
鼻のつまみやすさ(耳抜きがしやすいか)
水中に潜ると鼓膜を押されるような違和感を感じ、そのままどんどん深く潜るとこの違和感が痛みに代わる。このような状況にならないようにダイビング中は耳に違和感を感じた際に耳抜きという作業を行うのだが、この耳抜きを行う際に基本的に鼻をつまんで行う。その為鼻がつまみやすいかどうかは非常に重要で、試着した際には実際にそのまま耳抜きを行う事がオススメ。鼻をつまむ際にマスクが持ち上がり隙間ができてしまうマスクは水中でも同様の事が起こる可能性が高い為避けたほうがいい。
シリコンの硬度
マスクの顔に当たる部分はシリコン素材がいいと前述したが、このシリコンの硬度はダイビング器材メーカーによって異なる。一般的にやわらかいほうがフィット感が万人受けで良く、マスク装着跡が残りづらいが、反面マスクの内部にある水を出し辛くなったり強度が弱くなるというデメリットもある。硬いシリコンは顔に跡が残りやすかったりしっかりフィット感を確かめないで購入してしまうと水が入りやすくなるデメリットがあるが、頑丈でマスク内の水を出すのが簡単になる。どちらも一長一短で好みの範疇ではあるが、複数のメーカーのマスクを装着して自分の好みを見つけられると水中でのストレスが緩和される。
視野の広さ
マスクの視野の広さはモデルによって大きく異なる。同じ海を同じタイミングで潜っていても視野が広いマスクを使用している方が水中景色の迫力を感じる事が出来、また他のダイバーとの接触を避ける事も容易になる。視野の広さは各メーカーのカタログに数値がのっているので、それを参考にするのが確実。どれくらい視野の広さが違うのかを体感するには下記の方法を取る事で陸上でもで実感することができる。
1.1つ目のマスクを装着し視界の中心に目印をつくる。
2.その状態で顔や体を傾けずに目だけを動かして上下左右どこまで見れるのかの目標物を決める。
3.そのまま顔や体動かさずに2つ目のマスクを装着し同様の手順を取る。
これを行う事でどれくらい見える範囲が変わるのかを体験することができる。
マスクの内容積
マスクと顔の空間の広さはマスクの内容積で知る事が出来る。一般的には内容積は少なければ少ないほどメリットがある。メリットとしては水中でマスクがズレづらくなったり、マスク内に水が入った時に水を出すのが容易になる。また、水中で写真を撮るダイバーのうち、ファインダーを覗いて撮影するタイプのカメラを使用する場合には「内容積が少ないマスク=目とレンズの距離が近い」為、ファインダー内が見やすくなる。しかし、内容積が少ないマスクになればなるほど人を選ぶフィット感のマスクになりやすい為、内容積がとても少ないマスクを選択する場合には念入りにフィット感を確認したほうがいい。
UVカット加工
水中にも紫外線は意外と入ってくる。紫外線は目にダメージを与える為、目が弱い人や影響が気になる人はUVカット加工のレンズを使用したマスクを選択するのがオススメ。UVカット加工がされたほとんどのレンズにはサングラスのように色がついていたり暗く見える事が多い為、水中の色が変わって見えるのが嫌なダイバーや暗い所が苦手なダイバー。水中洞窟でのダイビングをメインに楽しむダイバーは避けたほうがいい。
シリコンの色
シリコンは一般的に透明なか黒色が主流であったが最近は白いシリコンやグレーなど様々な色のシリコンのマスクが存在している。透明なシリコンのマスクは解放感がありマスク内も明るい為、暗所が苦手なダイバーは避けたほうがいい。ただ、日差しが強いところでダイビングをする際にはマスク内部で光がレンズに反射し景色が見えづらくなることもある。色付きのマスクは内部での光の反射は一切ないがやや閉塞感や圧迫感を感じる為、それらがストレスになるダイバーは避けたほうがいい。色の違いは好みなので、装着した姿を鏡で見て気に入った色の物を選択するといいだろう。
2眼マスクか1眼マスクか…
各タイプのマスクの違いは前述の通りだが、度付きのマスクを使用したい人は要注意。1眼タイプのマスクで度付きのレンズを使用できるマスクは非常に少ないのだ。度付きのレンズを使用したいダイバーはそれらに対応しているのかを必ず確認することが必要だ。そうじゃないダイバーは正直好みだが、この2つのマスクで水中での顔の印象が大きく変わる。どちらが似合うかなどもあると思うので、試着の際は鏡で自分の姿を見たり、友人と一緒に試着に行き見てもらうといい。
最後は見た目と好み
水中での顔となるマスク。最近カメラをもってダイビングをする人も増え、水中での自分の写真を撮影してもらえる機会も増えた。マスクの色や形状によって印象も大きく異なる為、いくつかのマスクで悩んだ際には色の種類や見た目、あとは好みで最終的に判断するといいだろう。上記で説明した方法で荒日抜かれたマスクで複数候補がある場合には度のマスクを使用しても性能的には誤差の範疇である為、自分が気に入って愛着がもてるマスクを選択するのがダイビングを楽しむ為の秘訣だ。
自分にあったマスクで楽しいダイビングライフを過ごそう!
最終的にダイビングは楽しむ為の遊び!どんなに性能が高くても自分が気に入らないマスクでダイビングをすると気分が上がらない物の為、自分の感性を大切にしてあげる事も必要と思う。顔に合わないマスクを使用するだけでダイビングの楽しさは少し…どころではなく大きく下がってしまうため、自分に合っていて気に入ったマスクに出会えるようマスクを選んでもらえれば幸いである。