フリーダイビング専用の器材を身に付けることでパフォーマンスが変わる⁉

器材知識 HOW TO

フリーダイビングは一息で潜る特殊なスポーツになります。目的としては「より長く」「より深く」を極めるダイビングです。

スキューバダイビングやスキンダイビングなどで使用している器材を装着して行うと目的である「より長く」「より深く」を達成することが難しい場合もあります。実力を最大限引き出すためには競技用に作られた器材または競技性に適した器材を使用することでパフォーマンスを上げましょう!今回は記録を伸ばすフリーダイビング(競技)に特化した器材をご紹介させて頂きます。またレクリエーションであるスキンダイビングでも活用できる器材でもありますのでご参考ください。

フリーダイビングに適した器材の選び方

 

フリーダイビングに適した器材とは?

フリーダイビングの器材と言っても沢山あります。ただフリーダイビング用の器材を購入して身に付けるだけでは意味がありません。必ず自身に合い、パフォーマンスを発揮できる器材を選びましょう。

マスク

フリーダイビングで推奨しているマスクはズバリ「内容積」が小さく「水抵抗」の少ないマスクです。マスクの内容積とはマスクと顔の間にある空間(空気)のことを言います。この内容積が多いと水中に潜っていくにつれ水圧によって空間部分が圧縮され潜水中にストレス(圧迫感)を感じてしまい集中することが難しいのです。フリーダイビングは100cc以下のマスクが好ましく、少なければ少ないほど目とレンズの距離が近いため視野角も広くなり閉塞感が軽減されるからです。マスクの内容積は水深が浅い場所でスキンダイビングで遊ぶときはあまり影響がありませんが、深く潜るフリーダイビングでは影響が大きいため内容積が少ない物をお勧めさせていただきます。
水抵抗という面ではマスクの角部分が曲線を描いている顔の丸身に沿ったマスクを選ぶのがいいです。角張っていたりすると水をキャッチしてしまうため減速の原因となることも。スムーズに潜行や入水をするためにも抵抗が少ないマスクが最適です。

2つのマスクは内容積が100cc以下のマスクとなっておりスクイズした際に少量の空気だけで緩和できます。また視野も広く閉塞感もあまり感じにくくなっております。スフェラマスクの方は他のマスクと違いフレーム・レンズともにプラスティックで製造されており軽量なマスクになります。マスクの特徴でレンズのサイドが湾曲しさらに広く見えるようになっております。ですが、他のマスクと比べると耐久性が低いのです。バイオメタルマスクの方ではフレームはアルミ合金でできておりレンズはガラス製となっております。そのため耐久性をしっかり備え視界も広くマスクになっております。プール用・海洋用と使い分けても良いものでしょう。

シュノーケル

フリーダイビングでは水を飲みこんでしまうのを防ぐため、シュノーケルを咥えた状態で潜ることは基本的にしません。コンパクトで軽量な持ち運びがしやすいシュノーケルがお勧めです。また潜水する際、取り外しがしやすいシュノーケルを選ぶことも重要です。できるだけシンプルな作りのパーツがいくつもあるものではなくほぼ一体型の筒状のものだと水抵抗を減らすための形状で必要最低限のマウスピースが付いているだけが最適です。

スキューバダイビングでは逆止弁がついているもの、先端に水除などのパーツがついていますがフリーダイビング用のシュノーケルはシンプルなものを選びましょう。基本マスクのストラップに付けっぱなしにはしなく潜る際は外したりするため固定具などは不要です。固定具がないため、マスクのストラップに挟んで装着します。スキンダイビングなどでは逆止弁付きのシュノーケルのほうが呼吸もやすく、浮力体に掴んで呼吸をすることも少ないので水面でしっかり呼吸がしやすい、シュノーケルクリアーがしやすいタイプを選びましょう。競技重視をしていない方はスキューバダイビング・スキンダイビングで使用しているシュノーケルのほうがクリアーがしやすくお勧めです!

フィン

より長く、深く潜るためにより楽にキックができ推進力を求めていきます。それを叶えてくれるのが「ロングフィン」です、なんでロングフィンを使うのか?ロングフィンは他のフィンよりも名前の通りブレード部分が長く、水のキャッチ量が違いビーフィン(短いフィン)よりも格段に推進力が高くなります。素材によってパフォーマンスが異なりますので目的に合ったものを選びましょう。主に「プラスティック」「グラスファイバー」「カーボン」この3種が主体になり3つから更に硬さや長さが変わります。その中でも一番競技に向いている素材が「カーボン」になります。カーボン製のロングフィンは他の素材よりも軽量で反発力が強く推進力に優れ競技に向いており、またレクリエーションフリーダイビングでも人気がございます。ですがカーボンには他と比べ強度が弱く誤って踏んでしまった時、ぶつけてしまった時に折れてしまうことがあります。

プラスチック グラスファイバー カーボン
ブレードの強度 硬い やや柔らかい とても柔らかい
キックのしやすさ キック力が必要 初心者でもキックしやすい 柔らかくキックしやすい
本体価格 安い やや安い 高い

競技中でのフィンキックは一番酸素を使用する動作になりますのでフィンを選ぶときは自身にフィットしキックしやすくストレスのないものを選びましょう!

ロングフィンのほかにも競技では「モノフィン」も使用されます。モノフィンは一つの足ヒレに両足で履くものになりイルカのように泳ぐことが出来る優れもの。扇状のため水キャッチが大きく推進力がロングフィンよりもあります。


※モノフィンでのフリーダイビング

ウェットスーツ

海やプールでツルツルのスーツを着たダイバーを見たことありますでしょうか?フリーダイビングで実力をしっかり出してくれる器材として一番重要なものが「アプネアスーツ」になります。どんなスーツかというと使用している布がスキン生地というものになり水を弾き、伸縮のしやすい素材となっております。このスーツを着用することで水抵抗を抑えることが出来き、推進力が上がりまた抵抗が低いため泳いでいる間減速しにくくなります。ですが、ただアプネアスーツを着るだけでは意味がありません。スーツを着用するうえで必ず自身の体形に合わせたオーダースーツが重要なのです。自身の体形とは違うものを着用した際スーツと自身の間に水が多く入り水抵抗が強くなり、また運動性が落ちてしまいます。きついものでも沢山息を吸えなくなってしまいます。しっかり自身の身体に合ったスーツを選ぶことが重要です。

生地の厚さは1mm~3mmが多く使用されております。3mm以下は柔軟性もあるため運動性を落とさずしっかり動けるものになります。また3mmないでも最低限の浮力だけで浮きすぎず潜りやすいようになっている。だが、生地が薄めの為取り扱いに注意しないとすぐに破れてしまうこともあり、レクリエーションダイビングなどに着用すると岩場や器材と擦れて同様に破れてしまうので競技用やトレーニング時のみ使用で着用することをお勧めします。アプネアスーツの表面・裏面でも効果が変わります。表面はスキン素材ですが、裏面はジャージ生地とスキン生地が選べるものもあり、両面スキン生地の場合、表面の水抵抗は変わらないが裏面では体に密着し高い保温効果がある。また裏面がジャージ生地の場合、生地の接合部分の耐久性が良く両面スキン生地よりも取り回しがしやすい。

 

こんな器材もあります!

ここまで紹介した器材だけでもフリーダイビングで実力を発揮できますが、他にもフリーダイビング用としてマニアックな器材がございます!プールのみ使用機材とプール・海洋どちらでも使用が可能器材をご紹介。

プールのみ使用可能器材

ロブスターウエイト

ロブスターのような形状をしており首回りに装着し重しの役割になります。主にプール競技・トレーニングで使用される器材です。

ロブスターはプール種目に特化したウエイトで、従来の腰ウエイトではベルトの締め付け感やつける位置調整が必要で手間がかかる状態と腰に重りがあると腰を反ってしまい平行姿勢が出来なくキックがしずらいこともありますが、ロブスターは自身の欲しい重さをg単位ですぐ調整でき首周りの為締め付け感などはあまり感じません。(背負っている感じ)首周りの為、反り腰の心配もなく平行姿勢を保つことが出来ます。また取り外しも簡単で今では主流になっております。
ロブスターはプールのみでの使用になりますが海洋でもネックウエイトを使用するときもあります。その時は後の性のチューブに鉛を入れそれを首に巻きつける重りになります。

どちらも使用可能器材

ダイブコンピューター

ダイブコンピューターは機能がいろいろありますがフリーダイビングで重要視してほしいのが「深度アラーム」「ダイブタイム表示」付きの物です。

潜っていく際に潜行ロープに目印があることもありますが、深度を気にしながら見ていると良い記録が出なってしまうことも。また何メートルかを腕をみることで確認をするとダイブ姿勢の乱れと減速が起きてしまうのです。数年前からフリーダイビング・スキンダイビング用の深度アラーム付きのダイブコンピューターが出てくるようになりましたが最高5つ設定できるものが好ましい。細かく深度設定ができることでアラームのなる感覚が狭まり水深管理がしやすくなります。またダイブタイムがあることで自身がどれくらいのスピードで潜っているのか、いつぐらいから苦しくなったのかなど確認できさらに安全管理が出来ます。

・ノーズクリップ

ノーズクリップとは鼻を固定する器材で主に競技・トレーニングで使用されます。

この器材はプール・海洋どちらでも使用可能。マスクスクイズなどを気にし、マスクを無くしてしまうと気になるのは鼻への水の入水。また空気が漏れないため愛用されている方も多いです。シンクロなどで使用されるノーズクリップは簡単に取れないように幅が固定されておりますが、こちらは自身できつさを調整でき圧迫感など感じずに使用できる優れものです。また取り外しもしやすい構造となっております。ノーズクリップを使用するメリットは他にも人間には潜水反射の生理反応があり水に触れる面積が大きい程リラックスが出来るのです。そのためマスクの使用時よりもリラックス効果が高くなります。

フルイドゴーグル(リキッドゴーグル)

水泳などで使用されるゴーグルとは違い、レンズ内に水を入れて使用するゴーグルです。こちらは海洋の競技・トレーニングで使用されます。

レンズの内側に魚眼レンズのようなものが付属しており水を入れることで裸眼より焦点がしっかり合い、空気を含むマスクよりも水抵抗を抑え、またスクイズの心配もありません。プールではフルイドゴーグルではなく通常のゴーグルの方が見やすいので使い分けが必要となります。フルイドゴーグルとノーズクリップを組み合わせて使用している選手もいます。

海洋のみ使用可能器材

ラニヤード

ラニヤードは海洋でのみ使用する器材になります。潜行ロープとダイバーを繋げ安全管理をする器材になります。

自身の手首に装着しもう片方のカラビナ部分は潜行ロープに取り付けます。そうすることで垂直潜水の際、潮流や視界の悪い海況等で、ロープから離れないように安全に潜れるのです。また競技・トレーニング時の最高深度まで先行した際、行き過ぎないようにストッパー代わりにもなります。海洋ではいつ海況が変化するかわからないため安全面としても重要な器材になります。

器材を使い分けることで何が変わる?

ダイビング中の快適性

スキューバダイビングなどでは水中時間が長いため保温を重視しウェットスーツは5mm以上が好まれるが生地が厚い分運動性が3mm以下よりも劣ってしまいます。また浮力の効果も大きくなり潜る際の力や酸素消費が増加傾向にもなってしまうことも。レクリエーションダイビング(スキューバダイビングやスキンダイビング)とフリーダイビングでは着用するウェットスーツは勿論マスク、シュノーケル、フィンなどの器材を使い分けることで水中での快適さが圧倒的に変わります。より楽しむ為・快適を取るためにはそれに適したものを選び使用していきましょう。

・劣化防止になる

同じ器材を使用し続けるともちろん劣化も早くなります。ほとんどの人が壊れたり、使用できなくなってから買い替えをしますが、レクリエーション(スキューバダイビング、スキンダイビング)とフリーダイビングの器材を使い分けることで劣化を遅らせることが出来るのです。フリーダイビング専用器材は軽量を考えて作られているためスキューバダイビング用の器材よりも丈夫ではないです。ウェットスーツはスキン生地なので日差しや塩でやけやすく生地がどんどん弱くなってしまいます。機能性も悪くなってしう可能性も。目的別に器材を使い分けることで劣化スピードを軽減し長持ちさせることができるのです!

スタイルを変えることで幅広く楽しめる

フリーダイビングの中でも競技とレクリエーションダイビングで分かれる。ここでも器材を使い分けることでダイビング時の楽しさ快適性が変わります。競技では水抵抗の少ないアプネアスーツが良いですが、レクリエーションダイブではアプネアスーツではなくジャージ生地のウェットスーツが良いでしょう。序盤でもご紹介しましたがアプネアスーツは取り扱いが難しいものになります。レクリエーションダイビングではサンゴ礁や洞窟があるところへ行くこともあるのでアプネアスーツの場合、接触してしまうとすぐに破けてしまう可能性があるのです。レクリエーションダイビングではジャージ生地のウェットスーツを着用し競技など意識せず気持ちの切り替えも含めダイビングをした方が楽しめます。

 

 

まとめ

スキューバ・スキンダイビングはレクリエーションのために器材を持ち、フリーダイビングでは自身の実力を発揮するために使い分けて頂ければと思います。フリーダイビングの競技は技量だけでなく使用する器材の差でもパフォーマンスが変わり記録が伸びることがあります。しっかり自身に合ったフリーダイビング用の器材をもって競技・レクリエーションを楽しんで頂ければと思います!

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